コーヒー器具えらびガイド

器具を選ぶ

ケメックス専用フィルターが切れてしまい、買いに行けないとき、手元にあるもので代用できます

円錐フィルターを折って使う方法、ペーパータオルで代用する方法、ネルドリップで代用する方法。円錐フィルター・ペーパータオル・ネルドリップが現実的な選択肢です。それぞれ味の仕上がりと手間が変わるため、状況に応じて使い分けましょう。

公開日 2026年08月11日

ケメックス専用フィルターが切れてしまい、買いに行けないとき、手元にあるもので代用できます

円錐フィルターを折って使う方法

ケメックス専用フィルターがないとき、最初に試したいのがハリオV60などの円錐フィルターです。ケメックスのドリッパー部分は円錐形に近い形状をしているため、手元の円錐フィルターを折り曲げて使えます。

折り方の手順

円錐フィルターをケメックスに合わせるには、フィルターの縫い目を基準に折り目を追加します。まず円錐フィルターを広げ、縫い目の反対側にもう一本の折り目を作って四つ折り状態にします。この形がケメックスの角度に近づくため、ドリッパー部分にぴったり収まりやすくなります。

フィルターをセットしたあと、お湯で全体を湿らせてガラス面に密着させます。このひと手間で抽出中にフィルターがずれにくくなり、お湯が均等に粉を通ります。

注ぐときの注意点

円錐フィルターはケメックス専用品より薄いため、お湯を一度に大量に注ぐとフィルターが破れやすくなります。普段より少しずつ、円を描くように注ぐペースを意識すると安定します。

抽出時間も専用フィルターより短くなりがちです。同じ粉の量でも1分ほど早く落ち切ることがあるため、挽き目を少しだけ細かくするか、粉の量を増やして調整すると味のバランスが保てます。

ペーパータオルで代用する方法

買い置きがなく、家にあるもので済ませたいときは無漂白のペーパータオルが選択肢になります。キッチンペーパーと呼ばれるものでも構いませんが、香料や漂白剤が含まれていない製品を選びましょう。

セットの仕方

ペーパータオルを2枚重ねにして、ケメックスのドリッパー部分に沿って敷き詰めます。円錐フィルターのように折り目を作るのではなく、器の内側全体を覆うイメージです。底の部分が二重になるように調整し、お湯で濡らして密着させます。

ペーパータオルは繊維が太くフィルターより目が粗いため、微粉が抜けやすい性質があります。そのためコーヒー粉の挽き目は中挽きより少し粗めに設定したほうが、雑味の少ない仕上がりになります。

抽出時の特徴

ペーパータオルはお湯の通りが速く、抽出時間が専用フィルターの半分程度になることがあります。粉がお湯に触れる時間が短いと薄い味になりやすいため、粉の量を1.2倍ほど増やすか、お湯の温度を少し高めにして成分を引き出す工夫が必要です。

紙の繊維がコーヒーに混ざる心配をする人もいますが、無漂白で香料のないペーパータオルなら、香りへの影響は感じにくい範囲に収まります。ただし紙の風味が気になる場合は、最初に多めのお湯でペーパータオルをすすいでから粉を入れると軽減できます。

ネルドリップで代用する方法

手元にネル生地があるなら、ネルドリップとして使う方法もあります。ネルはフィルターとしての歴史が古く、ケメックスのような厚手のペーパーとは異なる抽出特性を持ちます。

ネル生地の準備

未使用のネル生地を使う場合、まず煮沸して余分な繊維や糊を落とします。鍋に水を沸かし、生地を5分ほど煮てから冷水ですすぎます。この処理をしないと布の匂いがコーヒーに移りやすくなります。

ネル生地をケメックスのドリッパー部分に敷き、輪ゴムや紐で口元を固定します。円錐フィルターのように自立しないため、生地がたるまないようにしっかり張った状態を保つことが大切です。

抽出の違い

ネルは繊維の目が細かく、コーヒーオイルを適度に通しながら微粉は留めます。その結果、ペーパーフィルターよりまろやかで口当たりの柔らかい味になります。

抽出速度はペーパータオルより遅く、専用フィルターに近い時間がかかります。挽き目は中挽きで問題なく、普段と同じレシピで淹れても味のバランスが大きく崩れにくい点が利点です。

使用後の手入れ

ネルは使い捨てではないため、抽出後の手入れが欠かせません。コーヒー粉をすすぎ落としたあと、洗剤を使わずに水だけで洗います。洗剤の香りが残るとコーヒーの風味を損なうためです。

洗い終えたネルは水に浸けた状態で冷蔵庫に保管します。乾燥させると繊維が硬くなり、次に使うときの抽出速度が変わってしまうからです。2〜3日ごとに水を交換すれば、1週間程度は良好な状態を保てます。

平底フィルターは使えるか

カリタなどの平底フィルターも代用候補として考える人がいますが、ケメックスとは形状が大きく異なるため実用的ではありません。

平底フィルターを無理に押し込むと、底の部分だけが接地して壁面に隙間ができます。この状態でお湯を注ぐと、粉を通らずにフィルターの脇を伝って落ちる「チャネリング」が起きやすくなります。

どうしても使いたい場合は、フィルターの口元を折り曲げて円錐に近い形に整える必要があります。ただしこの加工は手間がかかり、結果も不安定です。円錐フィルターを折るほうが確実で、時間もかかりません。

金属フィルターは代わりになるか

ステンレス製の金属フィルターを持っている場合、ケメックスのドリッパー部分にはまるサイズなら使えます。ただしペーパーフィルターとは抽出の性質が大きく変わるため、同じ味を求めるなら調整が必要です。

金属フィルターは目が粗く、コーヒーオイルや微粉がそのまま抽出液に混ざります。その結果、ケメックス本来のすっきりした味わいではなく、濃厚で舌に残るボディ感のある仕上がりになります。

このオイル分が好みなら問題ありませんが、ケメックスを選ぶ理由が「クリアな味」にある場合、金属フィルターは期待と違う結果になりやすい選択肢です。

茶こしやザルで代用できるか

緊急時に「茶こしやザルで漉せばいい」と考える人もいますが、実際には現実的ではありません。

茶こしの目はコーヒー粉より大きく、細かい微粉がすべて抽出液に混ざってしまいます。舌触りがざらつき、雑味も強く出るため飲みにくい仕上がりになります。

ザルも同様で、目の細かいものでもコーヒーの微粉は通り抜けます。さらにザル自体がケメックスのドリッパー部分に収まらないため、別の容器で抽出してから移す手間がかかります。それなら最初からフレンチプレスなど別の抽出方法を選んだほうが合理的です。

代用するときの挽き目と粉量の調整

抽出時間が変わる分だけ、調整の中身も変わります。円錐フィルターは挽き目を半段階細かくするか粉を10%増、ペーパータオルは粉を20%増やすかお湯を5度ほど上げる調整が効きます。ネルは専用フィルターに近い抽出時間なので、普段と同じレシピのままで構いません(初回だけ布が水分を含む分、お湯を少し増やします)。それぞれの理由は各方法の項目で述べたとおりです。

どの方法を選ぶべきか

手元の道具と求める味で選択肢を絞ると判断しやすくなります。

円錐フィルターは入手しやすく、味の変化も小さいため最も汎用的な代用方法です。挽き目の微調整だけで普段に近い仕上がりが得られます。

ペーパータオルは緊急時の選択肢として使えますが、抽出の安定性は低くなります。粉量と温度の調整に慣れていないと薄い味になりやすいため、時間があるなら円錐フィルターを買いに行くほうが確実です。

ネルは手入れの手間がかかる一方で、まろやかな味を楽しめます。専用フィルターを切らしたことをきっかけに、ネルドリップを試してみたい人には良い機会になります。

平底フィルターや金属フィルター、茶こしは形状や抽出特性が大きく異なるため、代用としては推奨しません。別の抽出器具を使うほうが結果は安定します。

専用フィルターを切らさない工夫

代用方法を知っておくことは大切ですが、根本的には専用フィルターを切らさない工夫も考えておきたいところです。

ケメックスフィルターは1箱100枚入りが主流で、毎日1杯淹れても3ヶ月以上持ちます。残りが20枚ほどになったタイミングで次の箱を注文しておくと、切らすリスクが減ります。

通販を利用する場合、配送に数日かかることを見越して早めに手配します。店舗で買う場合も、取り扱いがあるか事前に確認しておくとスムーズです。

それでも切らしてしまった日は、今ある道具で一番近い代用を選べば十分です。入手しやすく味の変化も小さい円錐フィルターが最有力で、手元になければペーパータオルやネルが次点になります。